画像診断科

鼻腔内腫瘍

病理検査とともに、CT検査やMRI検査を実施することにより鼻腔内の腫瘍の浸潤具合や大きさなどを3次元的に把握することが可能です。造影剤を利用することにより腫瘍病変をわかりやすく描出することも可能です。
CTやMRIの特徴として外観や単純X線画像ではわかりにくい副鼻甲介や背鼻甲介、篩骨、篩板、硬口蓋への浸潤、破壊や融解の程度をよりわかりやすく評価することができます。また同時に肺野への転移をCTにおいて確認することも可能です。

症例 主訴:右目が少しおかしい、ということで当院を受診
8歳チワワ(雌)
診察時に右眼の下方から鼻にかけて臭気、右眼瞬膜突出と外斜視を認める
1週間の抗生物質を投与後も改善が見られず、また右眼球突出が観察されたことからCT・MRI検査を実施。

CT検査により右側硬口蓋、右側眼窩に片側性占拠病変を認める。また骨融解像が観察される。

MRI検査により、CT検査同様に右側鼻腔内の占拠病変を認め、一部腫瘍が脳に達する。
同時に行ったカテーテルによるFNAにより採取した組織を病理組織検査したところ悪性シュワン細胞腫と診断された。この症例は大学病院にて放射線治療を実施し、後のCT検査による評価で腫瘍組織のサイズの半減が認められた。

腹腔内腫瘍

潜在精巣

潜在精巣とは本来陰嚢内にあるべき精巣が、陰嚢内に存在しない状態をいいます。
精巣は胎児期に腎臓の尾側で発生し、生後約40日齢までに陰嚢内に下降すると言われていますが、潜在精巣の場合左右のうち片方だけ、あるいは両方が皮下や腹腔内に存在します。陰嚢内に比べて高温になるため、正常な精子形成が行われていない場合が多いのが特徴です。将来的に腫瘍化する危険性があることから摘出が推奨されます。
触診や超音波画像診断などで潜在精巣の位置が皮下なのか腹腔内なのかわからない場合には、事前のCT検査が特に有効です。
当院では触知不可能な潜在精巣が疑われる場合に術前のCT検査を実施しています。CT検査により皮下・腹腔内を問わず潜在精巣の大きさ・位置などを事前に把握することが可能です。そのため皮下なのか腹腔内なのかどこに精巣があるのかわからないまま行う手術と比べて、切開部位を最小限にとどめ、かつ大幅な手術時間の短縮と、短時間での確実な摘出を可能にしています。
また他院様から潜在精巣の術前検査としてのCT検査も同様に行っております。

症例1
ヨークシャーテリア 6才 4.8s 雄
飼い主様が去勢を考えているが、陰嚢内に精巣が触知できないためどうしようか迷っていた症例に対し、無麻酔CTを実施。すると両側腹腔内精巣を確認し、右側精巣の拡大所見を認める。この結果により飼い主様は手術をすることを決断。
手術では皮下の潜在精巣を考慮する必要なく正中切開にて開腹し両側精巣を摘出、病理組織学的検査に提出し、セルトリ細胞腫、セミノーマと診断される。

CT検査にて両側の腹腔内精巣が確認され、右側は約3×3cm、左側は約1.6×2cmであった
症例2
ヨークシャーテリア 1才 2.3s 雄
去勢手術の際、陰嚢内に触知できる精巣が一つしかなく、残る一つが皮下にあるかどうか触診やエコー検査で不明であったため、麻酔下CTにて検査したところ片側の腹腔内精巣が確認された。
手術にて陰茎右側3cm付近を開腹し、腹腔内精巣を摘出した。

摘出した潜在精巣は約1×1.5cm、陰嚢内の精巣は約1.5×2cmであった。
CT検査にて右側の腹腔内精巣が確認され、陰嚢内の精巣よりやや小さく約1×1.5cmであった

陰嚢内の正常な精巣 約1.5×2cm